卒業スピーチの季節、ザッカーバーグ、クックも。ゲイツのメッセージは?

市川裕康 | Hiroyasu Ichikawa
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5 min readMay 21, 2017

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ニュースサイトMicより

春の季節、毎年のように話題になるのが米国の大学卒業式における著名人の卒業スピーチ。スティーブ・ジョブズの2005年のスタンフォード大学でのスピーチが1番知名度があるかもしれませんが、その時々の時代背景を踏まえて語られる毎年のスピーチはとても刺激的なメッセージが込められています。

今年も既に卒業式を迎えている学校もありトランプ大統領のスピーチが少しだけ話題になりましたが、こちらのリストによると、5月25日に予定されているマーク・ザッカーバーグFacebook CEO(ハーバード大学)、そして6月9日のティム・クックアップルCEO(MIT)がとても注目を集めそうですね。

そんな中、フィランソロピー活動に取り組んでいるビル・ゲイツ氏が先週、卒業生に向けて、ということで14のツイッターでメッセージを連続投稿して話題になりました。

その後MICというウェブサイトへの寄稿文&ビデオメッセージとしてまとめられていたので簡単にご紹介。幾つかの示唆に富むメッセージが込められています。

ゲイツ氏曰く、もし自分が大学を卒業して新しい分野に取り組むならば、世の中に最もインパクトをもたらしうる、AI(人工知能)、エネルギー、バイオサイエンスの3つの分野を選ぶとのことです。

若い頃はいいコードがかければいいと思っていたけれど、いろいろな才能を持つ周りの人のことを理解することが大事である、或いは世界の不平等に関しても30代後半まで自分は認識を持てなかったので、ぜひ早い段階でそのようなことに意識を向けて欲しい、と訴えています。

また、よき自分になれるよう、常に自分に対してチャレンジしてくれるような人に囲まれることの重要性も指摘しています。妻であるメリンダさんや、ウォーレン・バフェット氏の名前を挙げながら、身近な人が幸せで自分を愛してくれているか、また他の人の人生をよくすることに貢献出来ているかを幸せの尺度にしている、と語っています。

また、具体的な書籍の推薦として、唯一1冊、『暴力の人類史』(ハーバード大学の心理学教授、スティーブン・ピンカー著)をぜひ読んで欲しいと強くお勧めしています。

同書は、聖書の時代から現在まで暴力が減少してきていることを示し、現代も非論理的で腹立たしい紛争やテロ、戦争などの現実もあるものの、それでも人類史上もっとも平和な時代を我々は生きている、ということを700ページ以上にわたって書かれた書籍ですが、ゲイツ氏にとっては今まで読んだ中で最も刺激的な本であると強く推しています。

身の回りを見渡すと問題だらけに見える現代のおかれた世界も、歴史的に見れば未来はよくなっている、と思えることで、また課題は解決出来ると信じられるようになることで、よりよい社会を築いていくことが出来ると訴えています。

自分の卒業式の頃を思い出しつつ、常に自省の気持ち、そして学ぶ気持ちを持つことの大切さを思い出させてくれました。

それにしても卒業スピーチに登場者の顔ぶれを見ていると、年々テック系の起業家・経営者の存在感が社会の中でも存在感を持ち始めていることを同時に感じます。米国の時価総額トップ企業4~6社、特に大量のデータを持ち企業価値「1兆ドル」を目指すGoogle, Facebook, Amazon, Apple、(Microsoft, Netflix))の動向は特に興味深いです。

*こちらは2017年10月に発売予定の書籍。『4大テックジャイアントの隠されたDNA』ということでNY大学のブランド分析が専門の教授による書籍も出版されるとのこと。こちらはまた改めて触れてみたいと思います。

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市川裕康/ ichi /media consultant passionate with #climatechange | #気候変動 #クライメートテック 関連調査・コンサルテイング https://bit.ly/climatecuration