読後メモ：『再起動（リブート）』/ 日本版「ハードシングス」、起業に必要なたったひとつのこととは？
本日（12/16）発売された『再起動 リブート』（ダイヤモンド社）を著者である株式会社ループス・コミュニケーションズ代表の斉藤徹さんから先日献本いただき、届いたその日に息つく暇なく読み終えたので読後メモ、記してみたいと思います。
まず著者である斉藤徹さんのお名前は、2000年代後半から2010年代始めに話題になりつつあったTwitter, Facebookなどのソーシャルメディアに敏感だった方であれば説明の必要はないとは思いますが、当時ITMedia（後にIn the Looops)上で、とても密度の濃いブログを連日投稿され、国内外のソーシャルメディアマーケティングについての最先端の情報を広く伝えてくれる伝道師のような方でした。
2010年春にソーシャルメディアのコンサルタントとして独立した自分にとっては、日々更新される斉藤さんのブログを当時貪るように読んでいたこともあり、沢山の学びを頂きました。2009年、自分が独立前で無職の時に、あるイベントで初めてお目にかかり、オフィスに招いてくださって、後にお仕事の機会も頂いたり、イベントで一緒に登壇する機会を頂いたり、本当にお世話になった恩人でもあります。いつも穏やかな語り口の斉藤さんと接する中で、この穏やかさはどこに由来しているのだろう、と当時感じたことがありました。
今回、『再起動（リブート）』を読むことで、その穏やかさの理由が分かりました。
20代での起業の後、時代の波、人の業に翻弄され、倒産の危機に何度も遭遇し、自分が創業した会社からの追放、裁判、そして自宅競売の危機など…壮絶な経験を経て、「覚醒」と書かれている現在の心の持ちよう、世界観の境地に行き着いた様子を知ることが出来ました。
書籍の概要はこちらの著者インタビュー記事に書かれてますので、ご興味持たれた方はまずはこちらを読み、その上でぜひ書籍を手に取ってご覧ください。本当に波乱万丈の物語で、ジェットコースターのようにハラハラドキドキしながら一気に読み切る方も多いこととと思います。
今同じような状況にいる方、そして次世代の起業を志す方にために伝えたいことがある、との想いで執筆されたとインタビューなどで書かれてますが、ここまでの体験を赤裸々に書籍という形で公開、共有頂いたことは、沢山の覚悟があったことと思います。直接ご縁を頂いていたものとしては、斉藤さんと共にこの物語を歩まれてきた福田さんとのエピソード含め、刺さる部分が本当に沢山有りました。
この感覚は実は2年半前、シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタリストであるベン・ホロウィッツ氏の『THE HARD THING ABOUT HARD THINGS~Building a Business When There Are No Easy Answers』（邦訳：『HARD THINGS 〜答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか』）を読み終えた時の興奮に似ているものがありました。当時も一気に読み、ブログに書いたことを思い出します。
また本作を読んでいると、90年代のバブル時代の雰囲気、ドットコムバブルの勃興からそれが弾ける様子、そして2000年代後半のリーマンショックなど、当時の時代の様子がとてもダイナミックに伝わってきます。真山仁さんの『ハゲタカ』を読んでいるかのような錯覚すら覚えます。
個人的には、何度も何度もこれでダメだ、と思えるようなピンチに陥りながらも次第に胆力が備わり、誠実に現実と向き合いながら道を切り開いてきた様子、機転、気持ちの切り替え方などが印象的でした。家財を売るために始めたネットオークションでビジネスを始めてみたり、海外のソーシャルメディアのトレンドをレポートするブログを徹底的に始めてみたり、具体的なエッセンスも沢山盛り込まれています。
さて、起業に必要なたったひとつのこととは、いったい何でしょうか？答えはプロローグにさらっと「鈍感力」であるといきなり書かれています。最初に読み始めたときには「？」と思いましたが、読了する中で染みるようにその意味が伝わってきます。ぜひ実際にその感覚を味わってみて下さい。
なお、現在、斉藤さんと多くの仲間のみなさんが取り組まれている、2011年に執筆された『ソーシャルシフト〜これからの企業にとって一番大切なこと』のアイディアを広げ、伝える活動は、先日「一般社団法人ソーシャルシフト・ラボ」（Facebook Group『ソーシャルシフトの会』）として法人化され、今後様々な活動が広がっていくことと思います。ぜひご覧ください。自分もご一緒出来たら、と思ってます。
